SaaS事業を運営する中でARRは、非常に重要な指標です。
新規の契約件数・金額やARPA、解約件数・金額などもARRを分解することで把握でき、事業の成績を表したようなものです。
今回は、ARRの計算方法やARRの推移を開示している企業のデータについて紹介します。
ARRとは?
ARRとは、「Annual Recurring Revenue」の頭文字を取った言葉で、年間経常収益を意味する言葉です。
毎年決まって得られる収益や売上を指します。
SaaS事業の中でも、初期費用やスポットの費用、期限が決められたコンサルティング費用などは、Recurring Revenueには含まれません。
サブスクリプション型のビジネスにおいて、ARRは事業の成長性や事業の規模を把握する上で、非常に重要視される指標の1つです。
ARRの計算方法
ARRは、MRR(月次経常収益)を12倍することで算出されます。
MRRの計算には、下記4つの指標を元に算出されます。
・New MRR:当月に新規顧客が契約することでプラスになるMRR
・ Expansion MRR:当月に既存顧客がアップグレードすることでプラスになるMRR
・Downgrade MRR:当月に既存顧客がダウングレードすることでマイナスになるMRR
・Churn MRR:当月に既存顧客が解約することでマイナスになるMRR
各MRRを元に、当月のMRRを算出します。
MRR=前月のMRR+(New MRR+Expansion MRR-Downgrade MRR-Chum MRR)
SaaSのMRR・ARR推移開示企業まとめ
Bill One |Sansan株式会社のMRR・ARR推移
画像引用元:Sansan株式会社IR資料
Bill one事業は、2021年の2月期にARR約1億円を達成してから、T2D3以上のペースで急成長していることが分かります。
契約数とARPAが同時に上がっていること、解約率を低い水準で抑えられていることが要因と考えられます。
SmartHR|SmartHR株式会社のMRR・ARR推移
画像引用元:労務SaaSからマルチプロダクト化へ SmartHR・芹澤代表が語る成長戦略 | Strainer
SmartHR社のARRは、組織の拡大とともに急成長しており、2023年3月時点ではARR100億円を突破しています。
サービス自体もマルチプロフダクト化を進めており、幅広い用途で様々な顧客に導入されています。
Chatwork|Chatwork株式会社のMRR・ARR推移
画像引用元:IRライブラリ | Chatwork株式会社
Chatwork社は、顧客数を増やすとともに、定期的にプライシングを上昇させることで、ARPU、ARPAを上昇させており、ARRの成長率を加速させています。
HENNGE One|HENNGE株式会社のMRR・ARR推移
画像引用元:IRライブラリ | IR情報 | HENNGE株式会社(へんげ)
HENNGE oneは、契約企業数も増加しつつ、ARPA、ARPUも右肩上がりで増加していることから、綺麗な右肩上がりでARRも成長を続けています。
毎年ARRは10億近くずつ積み上げており、着実に成長しています。
セーフィー株式会社のMRR・ARR推移
画像引用元: 決算説明資料 | セーフィー株式会社
safieは、1台当たりのカメラの単価はほぼ横ばいの中、課金カメラ台数が右肩上がりに増えているため、ARRも右肩上がりで成長を続けています。
大手企業との業務提携や資本業務提携を行っており、大手の営業力も活用しながら、着実に成長しています。
株式会社サイバーセキュリティクラウド各種SaaS総計のMRR・ARR推移
画像引用元:IRライブラリ/全て | IR情報 | 株式会社サイバーセキュリティクラウド
サイバーセキュリティクラウド社の各種サービスは、それぞれ右肩上がりでARRの成長を続けています。
主力サービスの解約率は、1%台前半と少々高い数字であるものの、新規獲得数がそれを上回っているのとその他のサービスで受注件数と解約率が安定しており、全体として成長を続けています。
他社のARR推移を細かく紐解き、自社SaaSの施策の参考にしよう
今回は、様々な企業のSaaSのARR推移について紹介しました。
ARRが右肩上がりで成長している事業でも、解約率を低く抑えられている事業、契約件数が爆発的に増えている事業、プライシングの見直しによって右肩上がりで成長している事業など様々です。
ぜひ、各事業が具体的にどのような取り組みを行ったのかを参考に、自社の事業に活かしてください。